当会設立の趣旨
 
 
 
 当会は再養育療法という治療法をメジャー療法に押し上げるために結成されました。私を含めた少なからぬ人間がこの療法を非常に評価しておりますが、残念ながら、この国ではマイナー極まる療法といわざるを得ません。
 
 この理由を考察した際に至ったのが、統括する組織=専門の学会がないというものでした。
 例えば、再養育療法の基本とは、被治療者を甘えなおさせるという一点にあるわけですが、まず治療者・研究者おのおのでばらばらな名称を使っています。再養育療法、育て直し療法、甘えなおし療法、ハグ療法、親代わり療法、自我の再構築……などなど。
 このように統一感がないのであれば、メジャーになれないのもしかりというところです。
 
 名称の混乱は、被治療者や研究者にとって大変な不利益となります。インターネットで何かを調べる際にとても便利なGoogleという検索エンジンがあるのですが、再養育療法を行っているところを探そうとすると、上記の名称をいちいち打ち込んで調べていかねばなりません。
 また、「育て直し」というキーワードで調べたいときには「育てなおし」「育て直す」などについても検索しなければならず、さらに単体では治療機関や研究者以外も大量にヒットしてしまいますから、「治療」だとか「療法」などのキーワードも同時に付けてあげなければいけませんから、まさに膨大な手間になってしまいます。
 育て直しの他には「甘えなおし」「赤ちゃんがえり」なども同様の手間がかかります(私も調査の過程で随分泣かされました)。
 このようなわけで、当会では最もぶれの少ない「再養育療法」を「被治療者を甘えなおさせる治療法」の総称として採用した次第です。研究者や被治療者の皆様も、この意を汲んで名称の統一にご協力いただければ幸いです。

 名称がこの有様では、当然治療者や研究者間の連携も図られているわけがありません。めいめいが、てんでばらばらに研究や治療を行っているようでは、交流分析のようにマイナーからメジャーな存在になることなどできません。
 
 「別にメジャーな存在にならなくてもいいではないか」そんな声があるかもしれません。しかし、それは被治療者にとって大変な不利益です。森田療法のようにメジャー化しなければ、健康保険の適用とならないからです。
 再養育療法は、摂食障害に限らず、心因性疾病の特効薬的な療法です。そして、精神的な病を患っている方の多くが、生活保護の必要な貧困層であるという統計がでています。
 つまり、本当に治癒を必要としている者ほど特効薬に手が出ないというジレンマが存在しているのです。これではいたずらに治療期間が延びるだけで、デメリットばかりが発生してしまいます。
 再養育療法は健康保険の適用を受け、自立支援法(旧32条)適用者や生活保護受給者がきちんと受けられるようにならなければいけません。
 
 さらに大きな問題として、COD(≒被虐待児童)の救済措置は不十分とはいえ官民両方で行われているのに対し、ACOD(≒成人した被児童虐待経験者)の救済措置が、官民ともに文字通り皆無であることに大変危機感を抱きました。
 
 また、多くの学会に見受けられる閉鎖性に、疑問を感じたというのも契機のひとつでした。このため、当会では学歴や立場に関係なく参加・発言できる学会を目指しました。

 このような意志を込めて、当会の設立に至った次第です。
 
2006.6.7
 
 
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